令和7年9月 長和町議会第3回定例会 町長提案理由

更新日:2025年09月02日

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令和7年9月 長和町議会第3回定例会 町長提案理由

【はじめに】
本日ここに、長和町議会9月定例会を招集いたしましたところ、大変お忙しい中、議員全員のご出席により開会できますことに、心より感謝申し上げます。


さて、今日から9月になりますが、相変わらず暑い日が続いております。
今年の夏も、昨年同様に熱中症警戒アラートが頻繁に発出され、危険な暑さと共に各地で記録的な猛暑日が続いております。
お盆を過ぎまして、朝晩は幾分涼しくなったとは言え、しばらくは残暑も大変厳しいとの予報であります。

近年は、熱中症対策に関するアナウンスが様々な媒体(ばいたい)を通して周知されておりますが、引続き、住民の皆様におかれましては十分な対策に心掛けていただきますようお願いをいたします。


また、これまでの暑さにより県内外の各地で渇水が続き、水稲など農作物の生育不良などが確認されておりまして、収穫量への影響が危惧されます。
一方、8月6日から日本付近に停滞した前線などの影響により、各地で線状降水帯が繰り返し発生し、九州北部や山陰地方、石川県や新潟県、長野県内においても24時間降水量が500ミリを超え、平年の8月降水量の3倍以上を記録した 結果による水害が数多く発生し、そこに住まわれる人々は大変な被害に遭われました。
このたび災害に見舞われました皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
今後も台風シーズンを迎えることから、町といたしましても常に気象情報を注視しつつ、警戒と有事の際の体制について確認をしながら災害への対策・対応を講じてまいります。

【 社会情勢 】
さて、私たちを取り巻く社会情勢は、国内外ともに大きな転換期を迎えております。
まず国内に目を向けますと、日本経済は緩(ゆる)やかな回復基調にあるものの、物価高騰やエネルギー価格の変動、円安の影響が町民生活に重くのしかかっております。

特に食料品価格の上昇は、年金生活者や子育て世帯の家計に直接的な影響を与えており、行政としても生活支援策の強化が必要な状況です。


雇用環境につきましては、2025年春闘では賃上げ率が33年ぶりの高水準となり、地方部でも人材確保のための賃上げが進んでおります。

これは地域経済にとって明るい材料である一方、企業の経営体力や持続性への配慮が必要と思われます。
また、現在の世界情勢は、私たちの暮らしにも直接的な影響を及ぼすほど緊迫(きんぱく)した状況が続いております。
アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領による「アメリカ・ファースト」を掲(かか)げた保護(ほご)主義的(しゅぎてき)政策が復活し、中国との経済的な分断が進み、半導体やAI技術をめぐる覇権(はけん)争いが激化しており、米中両国は互いに戦略物資の輸出入を制限して企業活動や国際貿易に大きな影響を与えています。
また、ロシアによるウクライナ侵攻は3年目に入り、戦線は膠着(こうちゃく)状態ながらも人的・物的損耗(そんもう)が続いており、北朝鮮兵士のロシア派遣や中国人兵士の存在も報道されるなど、戦争の国際化が進んでおります。
一方、気候変動も深刻化しており、2024年の世界平均気温は観測史上最高を記録しました。

そして、豪雨・洪水・山火事が世界各地で多発し、海面上昇による島嶼(とうしょ)国(こく)の移住問題も現実化の様相を見せております。

こうした環境変化は、農業や防災、エネルギー政策にも大きな影響を与えており、地方自治体としても対応が求められているところであります。
このような国内外の情勢を踏まえ、当町におきましても、人口減少・高齢化・担い手不足といった構造的課題に真正面から向き合い、持続可能な地域社会の構築を引き続き目指してまいります。
今年は、合併から20年という節目を迎えますが、これまでの歩みを振り返りつつ、次の10年、20年を見据えた町づくりに向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
今後も、子育て支援、医療・福祉の充実、地域産業の振興、災害対策、そして町民の皆様の安心・安全な暮らしを守るための施策を着実に進めてまいります。

【令和6度事業実績等】
今議会は、令和6年度決算について認定をいただく議会でもありますので、昨年度の各事業の実績をもとに、所信の一旦を述べさせていただきたいと存じます。

まず、【総務課】に関係する事業ですが、昨年度は、年々進む人口減少や超高齢化社会の中、引き続き「住民第一の行政運営」に取り組んでいくことや、職員の働き方、職員数の減少に対応した組織づくりが必要であったことから、10月に役場組織の見直し・再編を行いました。
選挙関係では、10月27日に衆議院議員総選挙、11月17日に町財産区議会議員選挙が執行され、財産区議会議員選挙は無投票となりました。
公共交通につきましては、巡回バスから「ドア・ツー・ドア型」のフルデマンドバスへ運行形態を移行させ、昨年4月から実証運行を開始いたしまして、課題などの確認と是正を行い、より利用しやすい運行に努めております。
情報管理の関係では、毎月発行しております「広報ながわ」とは別に、
SNSや昨年2月から運用を始めました「地域アプリ Nナビ」の活用や、町のホームページにおきましてもインターネット配信を行い、町内外の皆様にご覧いただいております。
また、昨年度は新しい庁内ネットワークの構築と業務用パソコンや基幹系業務パソコンの入れ替えが完了したとともに、キャッシュレス端末の導入により、会計での手数料支払いなどが便利になりました。
危機管理関係では、毎年、消防団と資器材の充実や自主防災組織の設置を進めておりますが、今後も、いつ起こるかわからない災害に向けて、防災備蓄品の確保や各種団体との連携とともに、引続き、町民の災害に対する意識の向上を図ってまいります。

次に【総合政策課】の関係でございますが、町の令和6年度一般会計決算額につきまして、歳入決算額は、62億7,126万5千円、歳出決算額は、61億798万1千円となっており、翌年度への繰越財源2,108万5千円を差し引いた実質収支は、1億4,219万9千円となりました。
しかしながらこれは、3億7,000万円(374,587千円)を超える財政調整基金などの取崩しを行って事業の実施に充てた結果であり、令和6年度は、決算に伴う決算積立7,200万円の財政調整基金への積立を行いますが、少子高齢化の進行等に加え、物価高騰をはじめとする急激な社会情勢の変化により、今後も大変厳しい財政運営が続くと思われます。
これからも住民ニーズの的確な把握、財源捻出の工夫などを行い、持続可能な財政運営の取り組みに努めてまいりたいと考えております。
町の重要な施策の一つとなっています移住・定住に関しましては、定着してまいりました空き家バンク制度や増加傾向にある移住相談への対応強化、空き家対策や利活用の検討などを推進するため、10月の役場の機構改革において移住定住係を発足し、体制強化を行いました。
今後も、地域おこし協力隊の皆さんのお力もお借りしながら、町の活性化、魅力の発信をしていくことができればと考えています。
このほか、地方創生関連の取り組みとしては、令和6年度に2期目の総合戦略の効果検証を行い、令和7年度から始まる「長和町デジタル田園都市国家構想総合戦略」の策定を行いました。
今後も地方創生の実現に向けて効果的な取り組みを図り、だれ一人取り残さない持続可能な、しあわせ長和町の実現、そして町の活性化に努めてまいります。

次に、【住民生活課】の関係では、各係とも関係機関等と連携を図り適正に事業を実施いたしました。
町税の関係でありますが、令和6年度の町税収入額は 約7億609万円で、前年度比5.8% 減となりました。
また、収納率の点では、全体で95.7%と前年度より0.7% 減となりましたが、引続き適切な課税と収納に努めて参りたいと考えております。
次に、窓口関係では、接客業務であることを常に意識した窓口対応を行い、住民への利便性を図りながら適切な保管・管理に努めております。
常に住民の立場に立って、個人情報の保護を最優先に考え、窓口常務に対応しております。
次に、環境温暖化対策関係では、国では政府実行計画において2030年度には設置可能な公共施設の50%以上に太陽光発電施設を設置することを目指すとされており、地方公共団体についても国に準じて率先的な取組を実施することとされていることから、環境省の補助金を活用して26個所の公共施設等への太陽光導入量調査を実施いたしました。
次に、会計係でありますが、国の進める自治体DXに対応するため、
デジタル田園都市国家構想交付金を活用し、窓口収納業務のキャッシュレス決裁対応のレジが導入され、令和7年3月10日から運用がスタートしました。
このほか、3つの特別会計(国民健康保険、国民健康保険歯科診療所事業、後期高齢者医療)においても、関係機関等と連携を図り適正な運営を行ってまいりました。

次に、【保健福祉課】では、妊娠から出産、子育て支援、健康づくり、住民福祉、高齢者支援まで、一生涯を通じ、生活に寄り添った住民福祉サービスとお互いが支え合い、地域と繋がっていく地域共生社会づくりに取り 組んでおります。
保健師・管理栄養士・公認心理師・保育士・社会福祉士の専門職員などが関係機関と連携しながら、「住み慣れた地域で、自分らしく安心して暮らし続けられる」よう各種相談・支援を行い、町の健康課題でもある高血圧と糖尿病の重症化予防に取り組んでいます。
また、子どもは地域や町の宝として切れ目のない子育て支援事業を行うとともに令和6年度から運用を開始しました保育園ICTシステムにより登降(とうこう)園(えん)の管理や園からのお知らせ配信など、保護者の利便性の向上と保育事務の効率化を図り、保育の安全と質の向上に努めております。

次に、【産業建設課】でございます。
農業経営基盤強化促進法の改正により、「人・農地プラン」が法定化されたことを受け、町では令和6年度、地域の農業者の話し合いを経て、所有している農地を10年後誰が耕作するのかを明確にした「地域計画」を作成するとともに、農業の担い手の皆様等へのアンケート調査の実施、また各地区において懇談会を開催いたしました。地域計画、また目標地図に基づき、今後、耕作者ごとに農地がまとまりのある状態、農地の集約化を目指して取り組んでまいります。
多面的機能支払事業関係では、令和6年度より令和10年度までの5年間が第3期の協定期間として始まりました。

自治会、活動組織が協定に基づき農地、農業用水等の資源を守る取り組みを行いました。
有害鳥獣駆除対策事業でございますが、ニホンジカ及びイノシシ併せて976頭捕獲し農産物被害の抑制に努めました。

松くい虫防除事業では被害木の伐倒・集積・くん蒸処理、約600立方メートルを行い、被害拡大防止に努めました。


商工関係でございますが、令和5年度繰越事業で、地方創生臨時交付金を活用し、町民の方一人当たり3,000円の地域いきいき券を配布いたしました。

なお、商工会で行っていただいている地域いきいき券事業でございますが、令和6年度の発行額は初めて3億円を上回る額となり、またか加入店数も140件と年々増加傾向となっており、地域経済に大きな役割を果たしております。
観光振興事業でございますが、観光協会と連携した事業として、国の補助金を受け、観光誘客、PR活動を実施いたしました。
ブランシュたかやまスキー場については、国庫補助及び有利な起債を活用し降雪システム設置工事及び圧雪車の購入を実施いたしました。
24-25シーズンにおいては、有効な設備投資ができたこと、また何より天候に恵まれたことにより来場者数及び売り上げは好調に推移しました。
建設関係につきましては、国庫補助事業により、大多沢橋橋梁保全工事、上五十鈴橋橋梁保全工事、また本沢橋橋梁補修設計業務委託を実施いたしました。

また、公園関係においては「いこいの丘公園整備工事」を実施いたしました。
上下水道関係では、上下水道事業とも公営企業法適用となり、引き続き健全経営に務め、経営基盤の強化を図ってまいります。
上水道事業においてはアセットマネジメント、下水道事業においてはストックマネジメントに基づき、計画的に事業を実施してまいります。
別荘関係では、長和町別荘地マスタープラン及び長和町観光施設事業総合戦略の実現を大きな目標としながら、直営別荘地経営委員会はもとより地主である各財産区をはじめ関係する機関と協議を進め将来にわたって安定した維持管理を行ってまいります。

次に、【教育課】の関係でございますが、長門小学校においては167名の児童が、和田小学校では27名の児童が元気に学校生活を送りました。
令和6年度も保護者負担軽減のため高等学校通学費等補助のほか、小中学校の給食費無償化を引き続き実施いたしました。
また、奨学金貸付制度の貸付額の増額、所得控除額の見直しなど制度の拡充を図り、令和7年度からの実施に向け条例改正を行いました。
令和4年度に整備した古町コミュニティセンターは、開館以来、大変有効に住民に活用されており、今後も「山の子学園共同村」様と共に地域共生社会の実現、地域の拠点施設として多くの方に利用していただけるよう努めてまいります。


文化財の関係につきましては、国史跡 永大人馬施行所の茅葺き屋根の腐朽劣化が進み、令和5年度、6年度の2ヶ年で修理工事を行い工事が完了しました。
黒耀石の関連につきましては、歴史遺産を活かした国際交流事業として黒耀石大使5期生8名と前年度渡航が叶わなかった4期生1名のオランダ・イギリス渡航交流事業を7月28日より9日間の行程で実施いたしました。
以上、令和6年度における各課の実施事業の実績をもとに、述べさせていただきました。

【町の財政運営・財政指標について】
続きまして、令和6年度決算における町の財政指標の主なものについて説明をさせていただきます。
まず、「実質公債費比率」でありますが、今回は10.0%となり、前年度の9.8%から0.2ポイント増加しました。
次に「将来負担比率」についてでありますが、前年度の44.0%から14.8ポイント減の29.3%となりました。
前年度と比較して「実質公債費比率」は増加、「将来負担比率」は減少しておりますが、双方とも、財政健全化を図る基準を下回っておりますので、令和6年度決算における財政健全化の状況は、全て健全な状況にあると言えます。
なお、健全化判断比率及び資金不足比率につきましては、本議会に報告案件として提出させていただいております。

後ほど、担当課長より説明をいたしませますのでよろしくお願い申しあげます。

【条例改正】
続いて、議案第58号「長和町消防団員等公務災害補償条例の一部を改正する条例」及び、議案第59号「長和町会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」並びに、議案第60号「長和町議会議員及び長和町長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例」、議案第61号「長和町職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例」につきましては、各関係法令や国の制度改革に伴いまして、改正をお願いするものであります。
また、議案第62号「長和町議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例」につきましては、合併以降見直しがされていない議員の報酬月額を、町の特別職報酬等審議会の答申を受けて改正を行うものであります。
次に、議案第63号「長和町職員の勤務時間及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例」につきましては、仕事と生活の両立支援の拡充に伴い、条文追加の改正をお願いするものでございます。

【補正予算】
続きまして、補正予算案6件につきまして、順次説明させていただきます。
はじめに、議案第64号「令和7年度長和町一般会計補正予算(第3号)」につきまして、主な内容を説明させていただきます。
まず、歳入の関係ですが、普通交付税の額の確定により、地方交付税を増額する補正予算を計上させていただきました。

令和7年度の普通交付税の額は27億9,528万2千円となります。
また、財政調整基金繰入金につきましては、今回の補正予算に伴い、5,063万3千円を減額する補正予算を計上させていただいたほか、令和6年度決算に伴う繰越金、歳出に伴う財源としての国・県支出金・町債等の補正予算を計上させていただきました。
次に歳出の関係ですが、職員の人事異動に伴う手当の補正をはじめ、各事業の実施に伴う過不足や科目の組み換えなどをはじめ、環境にやさしい農業推進に対応するための地域おこし協力隊の採用に関する補正予算も計上させていただいております。
この他、路線バスの地域連携ICカード導入補助、Jアラート新型受信機更新業務の補正、ブランシュたかやまスキー場においては第1クワッドリフト更新工事の辺地債協議可能額の確定に伴う工事費の見直し、獣害防止柵資材費、松くい虫防除対策費の増額補正、国の道路メンテナンス事業に係る設計費や工事費の補正予算などを計上させていただきました。

以上、一般会計全体で7,536万1千円の増額補正をお願いするものであり、補正後の予算総額は、62億2,687万1千円となります。

続きまして、第65号「令和7年度長和町国民健康保険特別会計(事業勘定)補正予算(第1号)」から第69号「令和7年度長和町観光施設特別会計補正予算(第1号)」までの特別会計補正予算についてご説明申し上げます。
これらの補正予算につきましては、令和6年度決算に伴う繰越金の補正が主なものとなっています。
繰越金関係以外の主な補正としまして、国民健康保険特別会計におきましては、新たに始まる子ども・子育て支援制度に対応するためのシステム改修費や令和6年度の普通交付金の清算に伴う雑入及び償還金などを、後期高齢者医療特別会計につきましても、国保と同様のシステム改修費を計上させていただいております。
また、介護保険特別会計におきましては、令和6年度の実績に伴う国・県への償還金等を計上させていただきました。
観光施設特別会計につきましては、除雪重機の価格改定に伴う補正予算等を計上させていただきました。
次に、議案第70号「令和7年度長和町和田財産区特別会計補正予算(第1号)」につきましては、前年度の繰越金が確定したことによる補正予算を計上させていただきました。

次に、議案第71号「令和7年度長和町上水道事業会計補正予算(第1号)」につきましては、鷹山水道における変更認可申請に伴う委託料、また、職員の人事異動に伴う人件費の補正を計上させていただきました。

【契約締結案件等】
次に、議案第72号につきましては「令和7年度ブランシュたかやまスキー場第1クワッドリフト更新工事」に係る契約締結案件でございます。
こちらも地方自治法及び長和町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例の規定によりまして、議会の議決を求めるものでございます。
次に人権擁護委員の推薦につき意見を求めることについては、委員の任期満了につき、長田(ながた) 和枝(かずえ) 氏を新任いたしたく議会の意見を求めるものでございます。

以上、本定例会に提案させていただきました議案について概要を説明させていただきました。
詳細につきましてはご審議の際、それぞれ担当者より説明を申し上げますので、原案をご承認賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。

  令和7年9月1日

長和町長 羽田 健一郎

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 総務係
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