令和7年6月 長和町議会第2回定例会 町長提案理由
令和7年6月 長和町議会第2回定例会 町長提案理由
【 はじめに 】
5月も末となり、長和の里におきましても田植え作業が一段落いたしまして、新緑鮮やかな季節から初夏のさわやかな風が心地よい季節へと移り変わる時期を迎えております。
議員各位におかれましては、日頃より町政運営に対し格別のご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
本日ここに、長和町議会6月定例会を招集いたしましたところ、公私ともにご多用のところご参集をいただき、本日から18日間の予定により、ご奮励(ふんれい)いただきますことに深く感謝申し上げます。
また、6月は梅雨の時期にもなりますが、近年は非常に強い雨が降ったり天候不順による強力な台風が発生したりと、秋頃までは十分に風水害を念頭に置きながら有事に備えておくことが肝要であり、行政といたしましても例年同様に降雨状況などに警戒してまいりますので、町民の皆様におかれましても、予報を含め、天候には十分ご留意していただくようお願い申しあげます。
【 社会・経済情勢 】
さて、私たちを取り巻く社会経済環境は、依然として大きな変化と課題の中にあります。
全国的には、少子高齢化の進行と人口減少が続き、地域社会の持続可能性が問われております。
特に中山間地域においては、若年層の都市部流出や担い手不足が深刻化しており、当町においても例外ではありません。
経済面では、2025年の日本経済は実質成長率+1.1%と、緩やかな回復基調にあります。
春闘では5%を超える賃上げが実現し、政府による定額減税や「年収の壁」対策など、個人消費を下支えする政策も講じられております。
しかしながら、物価高やエネルギー価格の不安定さ、円安の影響は町民生活に重くのしかかっており、特に年金生活者や子育て世帯にとっては、日々の暮らしに直結する深刻な問題となっております。
加えて、近年の米の価格高騰は、町民の食生活と農業経営の両面において大きな影響を及ぼしております。
2024年から続く猛暑や干ばつなどの異常気象、生産資材の高騰、農家の高齢化と離農の進行により、米の供給が不安定となり、価格は過去最高水準に達して家計への影響が顕著になっております。
食費の増加は家計の圧迫につながり、他の商品やサービスへの支出が抑制されて経済全体の消費が鈍化する可能性を含み、米価が高騰することにより他の食材への需要が高まり食材価格への影響が考えられるとともに、安定した食糧供給を脅かし、社会的な不安を増大させることも指摘されているところです。
米価の高止まり問題に関しましては、政府、企業、消費者、それぞれの主体が協力して解決していくことが必要だと考えております。
一方で、農家にとっては収益改善の機会ともなり得る状況であり、町としては、消費者と生産者の双方にとって持続可能な農業環境を整えることが求められておりますし、長野県内でも、農業の担い手不足や耕作放棄地の増加が課題となっており、地域資源を活かした農業の再構築が急務であると考えます。
また、米国のトランプ2期政権が誕生して今月20日で4カ月が経過しましたが、相互関税を切り札に各国に対して高い関税を課すなど米国第一主義との考えを基軸とする一方的で強硬な施策を進めており、日本におきましても製造業の屋台骨とも言える自動車産業に強烈な逆風となることが懸念されております。
関税措置が長引けば、大手自動車メーカーと比べて資金面など体力が少ない中小・零細企業は深刻な影響が及ぶと言われており、こうした意味でも、日米における関税交渉で事態の打開につなげられるのか政府の交渉力が問われものと考えます。
長和町民の皆様も自動車関連の会社にお勤めする方も多く、今後の政府の取り組みや大手メーカーを含む関連事業所の動向に不安を覚えながら就労されていることと存じます。
これら一連の問題については、各自治体におきましても知恵を絞り、できる対策に取り組んでおりますが、国におきましても現状と将来を見据えながら有効な対策・対応を見極めていただき、さらに強靭に取り組んでいただきたいと望むところであります。
【 町の情勢 ・ 行政報告 】
ご案内のとおり、今年の10月、長和町は合併20年を迎えます。
地方分権の推進、財政基盤の強化、あるいは行政の効率化などを目的とした平成の大合併として、平成17年(2005年)に旧長門町と旧和田村が合併をして長和町が誕生し、それから歴史を刻んで20年が経過いたします。
これまでの間、町民の皆様や町に関係される多くの皆様のお陰でこの年を迎えることができますことに、私も共に大きな喜びを感じておりますし、行政の長といたしまして感謝の念に堪えません。
現在、9月28日(日曜日)に記念式典などを行う予定でイベントなどについて検討を進めておりますが、20周年を喜んでいただける催しが行えればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
また、昨年度を実証期間として運行を開始いたしましたデマンドバス「ながわごん」ですが、これまでご指摘や確認された不備等につきまして可能な限り対応をさせていただき、多くのお客様にご利用いただいております。
今後も、事業を受けていただいているJRバス関東株式会社様と引き続き利用状況などを検証しながら、より良い運行に努めてまいりますので、町民の皆様のご理解をお願い申し上げます。
現在、私は、町長として合併時より町政の舵取り役を担わせていただいており、今年は5期目の任期の最終年となりますが、現任期の初めに掲げました8つの公約 「しあわせ長和町新たなる挑戦」 を揺るがぬ柱として、これまで、町民皆様の生命、財産、そして安全を守る取組みを推進し、日々の生活がよりよいものと感じられるよう、必要な施策を講じてまいりました。
そうした取り組みをしてまいりましても、なお人口減少に歯止めは掛からず、高齢化率は国や県の数値を大きく上回っておりますが、少子化、高齢化に対する施策は自治体で取り組める事業として他の市町村に先駆け、率先して取り組んでまいりました。
行政組織の見直し、再編につきましても、こうした変化する町の状況や職員数を考慮した働き方などを課題として昨年10月に機構改革を行い、この4月には厳しい財政状況の中、更なる財源の確保に積極的に取り組み、「入りを量(はか)りて出を制す」の精神で 「ふるさと納税事業」 に特化した部署を新たに設けさせていただき、返礼品の充実や新たな開拓を進めるため、庁内横断のプロジェクトチームを設置し、体制強化を図っております。
私の町長としての現任期も残すところ半年余りではあります。
現段階で今後の進退について申し上げることは控えさせていただきますが、5期目を推進していくにあたり掲げました公約に責任を持ちながら、引き続き、子育て施策や医療・福祉の充実、頻発化(ひんぱつか)、激甚化(げきじんか)する自然災害や感染症対策など、様々な課題に対する施策を進め、誰もが住みやすい、住み続けたい、持続可能な長和町の未来に向けて最後までしっかりと舵を取ってまいる所存でおりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
【議案説明】
それでは、今議会にお諮りさせていただきます議案につきまして、それぞれ概要をご説明申し上げます。
先ず、専決処分いたしました条例でありますが、承認第1号「専決処分した長和町税条例の一部を改正する条例」の承認につきましては、地方税法等の一部改正に伴い、町税条例の改正が必要なものについて本年3月31日付けで改正させていただいたものであります。
次に補正予算の関係でございます。
最初に、承認第2号「専決処分した令和6年度長和町一般会計補正予算(第9号)」についてご説明申し上げます。
歳入では、町税、地方譲与税、地方消費税をはじめとする各交付金、地方交付税、国及び県からの負担金・補助金の確定等に伴う補正、基金繰入金、
諸収入、地方債の補正が主なものとなっております。
歳出につきましては、議会3月定例会でお認めいただきました補正予算の取りまとめ後に変動をきたした国・県の補助事業に係るもの、地方債に関わる事業の補正のほか、各種事務事業の清算に伴う補正が主なものとなっております。
専決による補正予算の総額は、歳入歳出それぞれ4,617万4千円の減額となり、補正後の歳入歳出予算の総額は61億8,416万2千円となりました。これにより、令和6年度の財政調整基金の取り崩し額は4,958万5千円減の3億7,458万7千円となりました。
次に、一般会計と同様に令和7年3月31日付で専決処分させていただきました、承認第3号「専決処分した令和6年度 長和町国民健康保険特別会計(事業勘定)補正予算(第4号)」から、承認第8号「専決処分した令和6年度 長和町観光施設事業特別会計補正予算(第4号)」の各特別会計の補正予算につきましても、一般会計と同様に保険税や保険料、補助金の確定、繰入金の清算に伴う歳入の補正、各種事務事業の清算に伴う歳出の補正が主なものとなっております。
次に、条例案件でございます。
議案第40号、「長和町電気自動車等用充電器の設置及び運用に関する条例の一部を改正する条例」の制定につきましては、設置地番の枝番について改正するものでございます。
次に、議案第41号、「長和町営ブランシュたかやまスキー場条例の一部を改正する条例」の制定につきましては、リフト料金の見直しとレンタル料金を定める改正を行うものでございます。
次に、議案第42号、「長和町ケーブルテレビ施設条例の一部を改正する条例」の制定につきましては、インターネットコースに新たなプランを追加するために改正を行うものでございます。
◆【令和7年度補正予算[[一般会計]】
次に、議案第43号「令和7年度 長和町一般会計補正予算(第1号)」につきまして、主な内容についてご説明申し上げます。
まず、総務費の関係では、空き家対策総合支援事業で認定された危険空き家1棟の除却事業として510万円の増、また、民生費関係では、物価高騰特別対策事業で、住民税所得割非課税世帯への支援金として980万円の増、
農林水産業費の関係では、オーガニックビレッジ創出のための、みどりの食料システム戦略推進交付金として123万円の増、商工費の関係では、観光庁が募集したローカルガイド人材の持続的な確保・育成事業の申請に伴う事業費として1,173万9千円の増、土木費の関係では、国の追加採択のありました道路メンテナンス事業につきまして、設計・監理委託料で2,653万円の増、
などが主なものになります。
なお、これらの合計で、一般会計全体では5,905万2千円の増額補正となり、補正後の予算総額は、61億3,705万2千円となります。
次に、議案第44号、「令和7年度長和町公共下水道事業及び排水処理施設事業会計補正予算(第1号)」につきましては、資本費平準化債の借入額の増額に係る補正予算となり、資本的収入を500万円増額し、補正後の総額を2億843万9千円とするものでございます。
最後に、議案第45号、「長和町和田財産区管理会の補欠委員の選任につき同意を求めることついて」でありますが、お一人の委員の体調がすぐれないため辞任の申し出があったことから、補欠委員を任命するにあたり議会の同意を求めるものでございます。
私からの説明は以上となりますが、詳細につきましては担当者からご説明申し上げますので、よろしくご審議いただき、ご議決賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
令和7年5月30日
長和町長 羽田 健一郎
更新日:2025年06月02日